越佐近世史論文紹介6

諸々の事情で、本サイト自体の更新が長らく停止しておりました。自身の覚書とするためにも、今後少しずつ復活させたいと考えています。よろしくお願いします。

今回はまず下記論文を取りあげます。本論文の存在については、矢田俊文氏よりご教示いただきました。ありがとうございました。

  • 青山忠正/淺井良亮「新発田藩京都留守居寺田家と旧蔵文書」『歴史学部論集(佛教大学)』4、2014年3月

本論文は佛教大学図書館が所蔵する寺田家文書の概要を紹介し、その研究上の価値を考察したものです。寺田家は京都の呉服商(桔梗屋)ですが、宝暦年間頃から越後新発田藩の呉服御用等を勤めることで関係を深め、文化10年には寺田喜右衛門政求が新発田藩の「京都用聞」として召し抱えられることになりました。二代のちの寺田喜三郎政得は文久3年に新発田藩の「京都留守居役」となり明治維新を迎えます。寺田家文書は、こうした寺田家の家業と職務にかかわる文書群で、この新発田藩の用向きを勤めた文化年間から明治初年の時期の史料を中心として、全体でおよそ3000点であるとのことです。

本史料群は、論文でも言及されているとおり、大名の京都留守居をめぐる研究史が非常に乏しい中、その基本的なありかたを明らかにすることができる貴重な史料群として、おおいに活用が期待されるものだといえるでしょう。また、周知のようにこの時期の京都は数々の重要な政治的事件の現場であったのですが、論文によれば、例えば寺田の京都留守居としての公的な留帳の記載は、それらを網羅しているというより、時期によって精粗があるようです。こうした記録の残され方自体の問題も、興味深い検討課題でしょう。

なお論文では、戊辰戦争時の新発田藩が一貫して奥羽越列藩同盟側に立っていたと読めるような記述がありますが、これは私たちが理解している経緯とは異なるように思います。

 

『近世の村落と地域史料保存』の刊行

以前もお知らせしていた山本幸俊さんの遺稿集が刊行されました。刊行会の呼びかけに応えてくださった皆様には、心から感謝申し上げます。是非多くの方に手にとっていただきたいと思います。

山本幸俊『近世の村落と地域史料保存』2014.4.15 高志書院 10000円+税____ 2014-04-25 19_20

目次
  第1部 近世の地域と村
貞享・元禄期の家族形態の変化と水呑の形成―筑波郡山口・小田西町を中心に―
近世初期の村落と「土豪」―常陸国新治郡金田村を中心に―
近世初期の論所と裁許―会津藩を中心に―
越後山間地帯における村落間争論―近世前期の変容―
中世末・近世初期の越後の村
上杉領国における「村」の形成―頸城郡京田村を中心に―
  第2部 地域史料の保存と研究
地域史料の保存と文書館―新潟県立文書館、史料所在調査の試み―
歴史研究者、一歩前へ
地方史研究と史料保存―越佐歴史資料調査会の活動―
平成の市町村合併と公文書等の保存―新潟県の事例を中心に―
学校統廃合と学校アーカイブズの保存― 新潟県の事例を中心に―
市民のなかの地域史研究

あとがき
山本幸俊著作目録

『環東アジア地域の歴史と「情報」』の刊行

私も参加している研究プロジェクトにおいて、下記論文集を刊行いたしました。ご一読いただければ幸いです。

關尾史郎編『環東アジア地域の歴史と「情報」』2014.3.31 知泉書館 6500円+税____ 2014-04-25 19_21

目次

第Ⅰ部 「家」の履歴
 關尾史郎「本貫の記憶と記録-敦煌張氏の場合」
 蓮田隆志「「華麗なる一族」のつくりかた―近世ベトナムにおける族的結合形成の一形態」

第Ⅱ部 情報―生成と伝播
 高橋秀樹「酒泉丁家閘5号墓天馬図の運足表現」
 荻美津夫「奈良時代における「先人の遺風」としての「風流」とその展開」

第Ⅲ部 情報―制度と現実
 佐藤貴保「西夏王国における交通制度の復原―公的旅行者の通行証・身分証の種類とその機能の分析を中心に」
 山内民博「屠牛と禁令―19世紀朝鮮における官令をめぐって」

第Ⅳ部 情報―収集と利用
 原直史「支配錯綜地域における地域的入用―新発田藩の万雑とその周辺」
 麓慎一「清国における海産物市場の形成と市場情報―明治20年の清国調査を中心に」
 広川佐保「近代ハルハ・モンゴルにおける土地制度の系譜とその展開」
 芳井研一「南進論と日独伊三国同盟―情報の調査と立案をめぐる再検討」

受贈図書2014.1~3

2014年1月より3月にかけて、著者・編者の方々より下記図書をご恵贈いただきました。大変にありがとうございました。

奥村弘編『歴史文化を大災害から守る ―地域歴史資料学の構築』2014.1.25 東京大学出版会
(共著者のお一人である矢田俊文さんから)

広末雅士編『越境者の世界史 ―奴隷・移住者・混血者』2013.12.27 春風社
(共著者のお一人である高橋秀樹さんから)

栗原隆編『感性学 触れ合う心・感じる身体』2014.3.31 東北大学出版会
(編者の栗原隆さんから)

ジョバンニ・フィリッポ・デ・マリニ『〈復刊〉トンキン王国の新奇な話』〈環東アジア研究叢書4〉2014.2.28 新潟大学人文社会・教育科学系附置環東アジア研究センター
(編集・解説執筆者の蓮田隆志さんから)

城戸淳『理性の深淵 カント超越論的弁証論の研究』(新潟大学人文学部研究叢書10)2014.3.20 知泉書館
(著者の城戸淳さんから)

また、人文学部周辺で発行された下記雑誌も受贈。このうちWORDSNOWは、表現プロジェクト演習という授業に参加した学生たちが作成した文芸同人誌です。

『WORDSNOW』第5号

『比較宗教思想研究 死生観・例根幹から見た比較研究』第14輯

『佐渡・越後文化交流史研究』ほか

私のおります新潟大学人文学部界隈で、歴史学に関し以下のような雑誌が刊行されましたので紹介いたします。

『佐渡・越後文化交流史研究』第14号 新潟大学現代社会文化研究科・新潟大学人文学部プロジェクト「佐渡・越後の文化交流史研究」発行 2014.3
 池田哲夫「資料紹介『漁村採集手帳』」
 鈴木孝庸「『久知軍記』翻刻」

『資料学研究』第11号 現代社会文化研究科プロジェクト「大域的文化システムの再構成に関する資料学的研究」発行 2014.3.15
論文
 關尾史郎「トゥルファン出土墓誌の本貫記載をめぐって―「本貫の記憶と記録」拾遺―」
 矢田俊文「1703年元禄地震における相模国足柄郡・駿河国東郡御厨・伊豆国東岸地域の被害数」
 高橋秀樹「ヘクトルとアイアスの一騎打ちをめぐって~『イリアス』第Ⅶ書に見る強制(強請)行為~」
研究ノート
 蓮田隆志「ミエン集落磨崖碑と成立期のベトナム後期黎朝」

『人文科学研究』第134輯 新潟大学人文学部発行 2014.3.31
(以下は歴史関係論文のみ摘記)
 橋本博文・小林隆幸・奥田尚「新潟県内初発見の円筒埴輪―新潟市東区牡丹山諏訪神社採集の埴輪片をめぐって―」

『環日本海研究年報』第21号 新潟大学現代社会文化研究科環日本海研究室発行 2014.3
論文
 芳井研一「大陸打通作戰の意義」
 麓慎一「報効艦隊の創設について―北千島から日本海へ―」
 高慶元「日本の産業集積に関する一考察―関西の産業集積を中心に―」
研究ノート
 關尾史郎「集安所在、高句麗壁画墓の基礎的整理―『洞溝古墳群 1997年調査測絵報告』に関するメモ-」
 内田宏美「中国漢代紀年銘漆器出土一覧」
 李香丹「韓国の環境法制度の歴史的展開と問題点―環境政策基本法を中心に―」
 横田数弘「船員輩出地としての新潟県―戦後各年の国勢調査報告による特徴点の把握―」

『災害・復興と資料』第3・4号の刊行

またしばらく更新が途絶えてしまいました。この間いただいた図書雑誌等もありましたが、ご紹介できずにおり申し訳ありません。今後整理がつき次第掲載していきたいと思います。

さて、昨年度末の3月のことではありますが、『災害・復興と資料』の第3号と第4号が刊行されました。

『災害・復興と資料』第3号 新潟大学災害・復興科学研究所危機管理・災害復興分野発行 2014.3.15
内容
 板垣貴志「阪神・淡路大震災関連資料の利活用に向けて―災害資料研究領域の開拓―」
 吉野高光「東日本大震災に係る避難所関係資料の保全について―双葉町役場埼玉支所及び旧騎西高校避難所の作業から-」
 田中洋史・田中祐子「新潟県長岡市における東日本大震災避難所史料の整理と研究―長岡ロングライフセンター福祉避難所を中心に-」
 大平聡「地域史資料としての学校資料」
 松本洋幸「横浜の関東大震災と小学校―応急対応と学校資料について―」
 田中大輔「宮城県農業高等学校資料の価値と保存―山形ネットの資料救済活動を通じて―」

『災害・復興と資料』第4号 新潟大学災害・復興科学研究所危機管理・災害復興分野発行 2014.3.25
内容
論文
 原直史「宝永地震における大坂市中の被害情報について」
 近藤浩二「変所分間絵図に見る常願寺川大洪水―安政飛越地震における二次災害被害の実相解明へ向けて―」
 片桐昭彦・小野映介「1858年飛越地震における飛騨国小鳥川筋被災地域の復旧」
 松岡祐也「明和日向灘地震にみる複合災害の被害規模」
 村岸純「1703年元禄関東地震の被災地域に生じた生活環境の変化」
 西山昭仁「1707年宝永地震における大坂での地震・津波被害への対応」
 西尾和美「宝永四年地震の中の家族とその史料―阿波「野村家記録」・土佐「柏井氏難行録」の場合―」
 原田和彦「善光寺地震における松代藩の幕府への被害報告について」
 矢田俊文「一八三三年庄内沖地震における越後の津波到達点と水死者数」
研究ノート
 吉田律人「新潟地震と災害復興計画の策定―新潟県公文書及び鮫島茂文書を中心に―」 

なお第4号には拙稿も収載されておりますが、すでに下記の誤植を発見しております。校正時の見落としにてお恥ずかしい次第ですが、ここに訂正をいたします。
 p5下から8行目 ×大坂→○大阪
 p8注(19) ×付表の30→○付表の29

第2回新発田藩研究会のお知らせ

当サイトでは直前の案内となり申し訳ありません。下記の要領で第2回の研究会を開催いたします。ご関心のある方々のご参加をお待ちしています。

日時 2014年3月9日(日) 15:00~17:00
場所 新潟大学総合教育研究棟A棟3階「学際交流室」
報告 浅倉有子氏「溝口氏の高田城受取をめぐって(仮)」
   原 直史「支配錯綜地帯における地域的入用-新発田藩の万雑とその周辺」

※当日は日曜日で校舎が施錠されています。14:45頃より入り口で誘導しますが、遅れそうな方はあらかじめご連絡ください。

※当日研究会開催後に大学周辺で懇親会を開催できればと思っています。人数を把握できるとありがたいので、懇親会も含めて参加予定の方は、その旨あらかじめ下記までご連絡いただければと思います。
  hara◯human.niigata-u.ac.jp
(スパム対策のために@を◯にしていますので、置き換えてメール送信してください)

2013.11.3新潟史学会大会案内

下記の通り新潟史学会大会・総会が開催されます

第63回研究大会・総会
日 時 2013年11月3日(日) 13:00から
会 場 新潟大学五十嵐キャンパス・総合教育研究棟1階大会議室(新潟市西区五十嵐2の町8050)参加費 1総会資料代 会員300円,非会員500円
    2懇親会 3,000円程度(但し,飲酒されない会員・学生会員は1,000円)
日 程
12:30      受付開始
13:00ー13:10   開会の挨拶
13:10ー13:40   研究報告1 伊藤 聖登氏 (新潟大学大学院生)
               古代国家のエミシ支配
13:40ー14:10   研究報告2 園田 清人氏 (新潟大学大学院生)
               水利組合設置問題から見る地域社会
14:10ー14:40   研究報告3 阿部 奈津美氏 (新潟大学大学院生)
               盆のタナオガミ習俗にみる地域の共同性
14:40ー14:50  休憩

14:50ー15:20  総会
 2012年度事業報告・決算報告・監査報告,役員の改選,2013年度事業案・予算案,その他
15:20ー15:30  休憩

15:30ー16:30  記念講演 荻 美津夫氏 (新潟大学人文学部教授)
     七世紀における唐楽伝来の可能性を考える

16:30~17:30  記念講演 松本 彰氏 (新潟大学人文学部教授)
     戦没者記念の比較史ードイツ、アメリカ、 ロシア、日本: 1813ー2013,そして2014 ー

17:30ー17:40  閉会の挨拶・事務連絡
18:00―20:00  懇親会

問い合わせ先:
新潟史学会事務局 中林隆之・阿部昭典
   TEL FAX 025(262)6444・6830
Mail:nakabayashi■human.niigata-u.ac.jp
Mail:abe.aki■human.niigta-u.ac.jp
(SPAM対策のため@を■にしています)

山本幸俊論文集の刊行について

山本幸俊論文刊行会からのご案内を下記に転記します。


山本幸俊論文集の刊行にご協力下さい

  現在、山本幸俊論文集刊行会の会員は、2012年に急逝された山本幸俊氏の論文集を2014年4月の刊行をめざして取り組んでいます。
 山本幸俊氏は、立正大学を卒業後、新潟県内の小学校の教諭となり、その後、新潟県立文書館、上越市史編さん室に勤務され、上越市公文書センター長を勤められました。山本氏は近世初期村落の研究から出発され、研究の後半は資料保存の研究と実践に尽力されました。
 山本氏は越佐歴史資料調査会を立ち上げ、地域に寄り添った資料保存と研究活動を行ってこられました。また、2004年7月の新潟県の水害、同年10月の新潟県中越地震からの資料保存に取り組まれ、新潟歴史資料救済ネットワークの設立に貢献されました。
 山本幸俊氏の研究成果を多くの方々に知っていただきたいと思い、氏の村落と地域資料保存研究の論文を収めた山本幸俊論文集の刊行に向けて鋭意取り組んでいます。刊行には資金が必要です。山本幸俊氏の論文集の刊行にご協力をお願いします。
 2013年10月 
                           山本幸俊論文集刊行会
                                   青木 直己
                                   浅倉 有子
                                   小酒井大悟
                                   白川部達夫
                                   杉本 耕一
                                   田中 洋史
                                   中川 浩宣
                                   長谷川 伸
                                   花岡 公貴
                                   原 直史
                                   福原 圭一
                                   本田 雄二
                                   矢田 俊文
                                   渡部 浩二
                      (刊行会会員は、2013年10月12日現在)

 山本幸俊氏の論文集の刊行にご協力いただける方へのお願い

刊行会としては次のようなご協力をお願いしたいと考えています。
一口一万円を次の口座に振り込んで下さい。一口お送りいただいた方には、出版社の高志書院より、山本幸俊さんの論文集を1冊お送りします。

 〈口座記号番号〉 00580-7-85348
 〈加入者名〉 山本幸俊論文集刊行会

この口座を他金融機関からの振込の受取口座として利用される際は次の内容をご指定ください
銀行名 ゆうちょ銀行 金融機関コード 9900
店名 〇五九(読み ゼロゴキユウ) 店番 059
預金種目 当座       口座番号 0085348

山本幸俊『近世の村落と地域史料保存』
目次
第1部 近世の地域と村
1 貞享・元禄期の家族形態の変化と水呑の形成ー筑波郡山口・小田西町を中心にー
2 近世初期の村落と「土豪」ー常陸国新治郡金田村を中心にー
3 近世初期の論所と裁許ー会津藩を中心にー
4 越後山間地域における村落間相論ー近世前期の変容ー
5 中世末・近世初期の越後の村
6 上杉領国における「村」の形成ー頸城郡京田村を中心にー
第2部 地域史料の保存と研究
1 地域史料の保存と文書館ー新潟県立文書館、史料所在調査の試みー
2 歴史研究者、一歩前へ
3 地方史研究と史料保存ー越佐歴史資料調査会の活動ー
4 平成の市町村合併と公文書等の保存ー新潟県の事例を中心にー
5 学校統廃合と学校アーカイブズの保存ー新潟県の事例を中心にー
6 市民の中の地域史研究