カテゴリー別アーカイブ: 研究会等

2013年度歴史学研究会大会

去る5月26日に歴史学研究会大会に参加してきました。初日土曜日の全体会も興味深かったのですが、日中に地域学実習の授業を入れていましたので、やむなく断念して2日目のみの参加。しかし朝からなので前泊しての参加となりました。近世史部会のテーマは「宗教的秩序の受容と幕藩権力」。報告は以下のお二方。

  • 朴澤直秀「寺檀制度をめぐる通念と情報」
  • 梅田千尋「近世の暦流通と「暦支配」」

いずれも非常に力のこもった重厚な報告でした。部会運営委員の趣旨説明も含め、丁寧に実態を解き明かすことによって、いわゆる「宗教統制」をめぐる通念を相対化すること、あるいはさらに「宗教」という概念そのものを疑うこと、といった意図はクリアに伝わったと思いますし、実態を解き明かすとはいえ、おふたりの報告は単なる個別実証の枠を越えて、そこから大きく近世の国家と社会を見通そうという意欲にあふれており、刺激的なものでもありました。とくに朴澤さんの報告は、これまで同氏がおりおり発表してこられた論点をまとめたものという側面がありましたが、こうしてまとめて聞くと法令・先例・「偽法令」などの相互関係や流れが見事に浮かび上がってきて、一種の感動を覚えました。

実は私は諸事情でここしばらくの間、全国学会の大会等に出席できていませんでしたので、今回はかなり久しぶりだったのですが、報告や討論、そして懇親会も含めて、大いにパワーをもらって帰って来ることが出来たと思っています。

実は朴澤さんは9月に新潟大学での集中講義にお招きすることになっています。ご承知のようにこれまでの氏の研究の中では、越後国における寺檀関係等も多く検討対象としておられます。そうしたことから当サイトでも、後ほど少しまとめてそのお仕事を紹介しようと考えています。

地震科研研究集会

さる5月18日(土)に新潟大学で開催された、科研基盤研究B「前近代の地震による家屋倒壊率と津波到達点の研究―1707年宝永地震を中心に―」(研究代表者・矢田俊文)の研究集会に参加しました。私のものも含め、当日行われた報告は下記の通り。

  • 浅倉有子「駿河国岩本村史料、天保四年輪島津波史料の紹介」
  • 西山昭仁「歴史地震における被害評価方法の試案」
  • 谷口央「渥美半島の地震史料―鬮目作司氏収集資料の紹介―」
  • 原田和彦「善光寺地震における手代の役割」
  • 片桐昭彦「安政5年飛越地震における飛騨国小鳥川流域の被害と復旧―「飛騨郡代高山陣屋文書」所収の絵図をみる―」
  • 原直史「宝永地震における大坂市中の被害情報について」
  • 小野映介「伊勢平野における地形発達と津波履歴」
  • 矢田俊文「1586年天正地震と美濃大垣城の被害」

当日の論点は多岐にわたるものの、なかでも歴史学で普通に行われる史料批判の意義を、地震研究者に対していかに主張していくべきかという、ごくあたりまえのことの重要さを、あらためて確認できた会でもあったかと思います。

なお、同科研では11月4日(月・振替休日)に公開の研究集会を予定しています。